Snowflakeとは? ~機能・特徴・AIデータクラウドの意味をわかりやすく解説~(Vol.1)

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昨今、データ活用ソリューションとして「Snowflake」が注目を集めています。
Snowflakeは、クラウドベースのデータウェアハウス(DWH)製品という印象が強いのではないでしょうか?
現在、Snowflakeは、自身を“AIデータクラウド”という従来のデータウェアハウス(DWH)製品とは一線を画す概念のサービスであると標榜しています。

本ブログ記事では、「Snowflakeがなぜ注目を集めているのか?」、「Snowflakeの機能概要や特徴は何なのか?」、「各クラウドベンダーが提供するデータウェアハウス(DWH)製品と何が違うのか?」などの疑問に答えるべく、AIデータクラウド:Snowflakeについてわかりやすく解説します。

Snowflakeとは? ~日本でも利用できるの?~

Snowflakeは、米国Snowflake Inc.が提供するクラウドベースのデータプラットフォームです。Snowflake Inc.は、2012年にアメリカ カリフォルニア州で設立されました。設立以来、先進的なテクノロジーで、世界的な注目を集めています。
そんな昨今注目のSnowflake社には日本法人があります。Snowflake社の日本法人であるSnowflake合同会社は2019年に設立されており、2025年8月1日付で浮田 竜路氏が社長執行役員に就任します。
また、日本法人があるだけでなく、Snowflake社が提供するヘルプマニュアルや、Web管理画面のGUIは、日本語対応が行われています。さらにSnowflake社は日本のクラウドリージョンをサポートしているため、「データを日本に保存したい」という要件に応えることができます。日本法人の設立後、年々、日本国内での知名度も高まっており、2025年3月時点で、グローバルで12,000社超、日本国内でも約700社以上の企業で採用されている実績があります。
そのため、データプラットフォームの検討にあたり、Snowflakeを一つの選択肢とする日本企業が増えています。

Snowflake特徴とは?

日本国内でも豊富な採用実績のあるSnowflakeですが、一体どのような特徴があるのでしょうか?
Snowflakeの主な特徴として4つご紹介します。

独自のアーキテクチャ

データを保管するストレージ層と、処理を実行するコンピュート層が分離独立しており、データは集約して一か所で保管しながら、複数の処理を同時に実行することができます。Snowflakeでは、このコンピュートをつかさどるクラスタを「ウェアハウス」と呼びます。
具体的には、次のようなメリットが挙げられます。

  • マルチクラスタ
    例えば、ETLとBIを担当するコンピュートクラスタを個別に用意することで、それぞれの処理が影響することはありません。
  • スケーリング
    コンピュートクラスタ単位で、並列度や性能を変更することができます。同時接続数の増減に対応することができます。
  • コスト効率化
    コストも独立しており、データ量に準じたストレージ課金と、秒単位利用時間でコンピュート課金が行われます。どちらも、完全従量課金制です。

柔軟なスケールアップが可能であり、オートスケール機能も搭載しているため、データ量やユーザ数が増えても、ハイパフォーマンスを維持することが可能です。

フルマネージドサービス

サイジングやDB設計、サーバ保守、セキュリティ対応など、運用に必要な作業がサービスとして提供されるため、運用管理の負荷が軽減されます。
具体的には、次のようなメリットが挙げられます。

  • コンピュートクラスタの性能変更はコマンド/WebGUIで実行可能
  • クローン機能によるデータを瞬時コピー
  • タイムトラベル機能による自動データバックアップ取得
  • 災害対策(セカンダリアカウントの定義とフェールオーバー/フェールバック)
  • リソース監視からの解放

素早く安全なデータシェアリング

SNOWGRIDと呼ばれるテクノロジーで、データをコピーせず、ストレージ内の任意のデータをリアルタイムで参照/共有することが可能です。データが配布されることはなく、一元管理でき、ガバナンスの観点でも有効です。
このテクノロジーにより、社内外のデータをセキュアに取り込み、シームレスに分析業務を行うことが可能となります。

データに関する多様なワークロードの搭載

データを格納するストレージ/DWH機能を核として、
データの加工や分析・AIに関連する多様なサービスが、Snowflake上にホストされています。
たとえば、開発フレームワーク「Snowpark」によりSQL以外の開発言語(Pythonなど)のコードを実行することができるため、大量データの分散処理や画像処理なども可能です。
また、Snowflake上で大規模言語モデル(LLM)やAI機能を利用できる「SnowflakeCortex」と呼ばれるサービスがあります。
そのため、Snowflakeのデータを他の場所へ移動させることなく、効率的かつ安全に処理できるというメリットがあります。

Snowflake「AIデータクラウド」に込められた意味とは?

Snowflakeの特徴はご理解いただけたかと思いますが、標榜している“AIデータクラウド”には、一体どのような意味が込められているのでしょうか?
従来のデータウェアハウス(DWH)製品との差別化ポイントから読み解いていきましょう。

Snowflakeが従来のデータウェアハウス(DWH)製品と異なるポイントは次の通りです。

  • 構造化/半構造/非構造のあらゆるデータを取り込み、一元管理が可能
    一般的なデータウェアハウス(DWH)は、構造化データのみを取り扱いますが、Snowflakeは、半構造/非構造のデータの蓄積&検索が可能です。
  • 自社のデータ統合だけでなく、グループ企業/社外パートナー/オープンデータの活用も可能
    データシェアリング機能を活用することで、1st Party Data(自社データ)に加え、2nd Party Data(ビジネスパートナーのデータ)や、Snowflakeマーケットプレイス上に公開されている3rd Party Data(オープンデータ)をセキュアに取り込み、シームレスな分析業務を行うことが可能です。
  • 自社のデータをSnowflakeマーケットプレイス上に公開し、収益化を目指すことも可能
    データを利用するだけではなく、データのビジネス化というような、将来の展望までを見据えることができます。

→ Snowflakeは、これらのポイントを踏襲しながら、様々な機能追加や適用経験を経て、元々クラウドデータウェアハウスと言っていたものから、クラウドデータプラットフォーム、そしてデータクラウドというように、製品やメッセージを進化させてきました。

近年、生成AIの登場により、AI活用はビジネスにおいて必要不可欠な要素となりました。Snowflakeにもまたモデルの開発運用やLLM関連機能・アプリケーション開発等のAI活用に必要なサービスが搭載されるようになりました。そのような背景からも、SnowflakeはAI活用のためのデータプラットフォーム”AIデータクラウド”へと呼称を変え、進化を続けています。

いかがでしょうか? Snowflakeが「一般的なデータウェアハウス(DWH)製品の領域を超えたデータ活用基盤であり、新しい概念を持つサービス」=「AIデータクラウド」であると定義されている意味が、ご理解いただけたものと思います。

Snowflake のデータウェアハウス(DWH)としての評価は?

データクラウド:Snowflakeは、クラウド上のあらゆるデータを共有/活用可能なプラットフォームであることはご理解いただけたかと思いますが、従来のデータウェアハウス(DWH)製品とレスポンスや機能の面で比較した場合はどうでしょうか?

その場合でも、レスポンスの面において、Snowflakeに優位性があると考えています。なぜなら、データを保管するストレージ層と処理を実行するコンピュート層が分離独立したSnowflake独自のアーキテクチャにより、ETLツールやBIツールなどのワークロード単位で処理性能や並列度を秒単位で定義でき、BIなどのツール利用者の同時接続数の増加にも自動で対応できるからです。

このような、データウェアハウス(DWH)としてのレスポンス性能を評価したい場合には、PoCがおこなわれることがあります。PoCにより、特定のETLツールやBIレポートのレスポンスを測定し、既存のデータウェアハウス(DWH)製品や他のデータウェアハウス(DWH)製品と比較したり、Snowflake導入後の利用料金をシミュレーションしたりします。データウェアハウス製品の選定プロセスにおいて、PoCの実施要否はあらかじめ決めておくとよいでしょう。
※ご参考(PoCのステップ/環境例):https://itsol.dentsusoken.com/snowflake/service/poc/

Snowflakeとは? ~まとめ~

ここまで、Snowflakeの概要について解説して参りました。
最初に、Snowflakeの主な特徴として、ストレージとコンピュートを分離した独自アーキテクチャ、フルマネージドサービス、データシェアリング、データに関する多様なワークロードの搭載の4つをご紹介しました。次に、従来のデータウェアハウス(DWH)製品とは異なるポイントに触れ、SnowflakeがAIデータクラウドと呼ばれる理由、その意味について解説しました。

データ活用のスタート~運用/改善~拡張までの各段階で抱える課題は異なりますが、Snowflakeは、上述の特徴を活かし、どのような段階の課題をも解決可能なソリューションです。それが、Snowflakeが多くの企業で採用されている理由と言えるでしょう。

本ブログ記事が、多種多様なデータを活用していくためのデータプラットフォーム製品の選定にあたり、皆さまの検討の一助になりましたら幸いです。

弊社電通総研は、データマネジメントの専門家として、お客様のデータ一元管理やデータ活用における戦略策定、データドリブン経営の実現に向けた真の“使える”データマネジメント基盤構築のご支援をしております。
データ分析基盤の豊富な構築実績に基づくノウハウを体系化したサービスをご提供しておりますので、データ活用でお悩みの際は、是非、電通総研までお声掛けください。

◆ お問い合わせページ:https://itsol.dentsusoken.com/snowflake/inquiry/

本サイトのブログ記事に加え、Snowflakeを中心としたデータエンジニアリング関連の技術的な情報を掲載したテックブログもWeb公開しております。
是非、こちらのテックブログもご覧ください。
https://zenn.dev/p/datatechblog

*本記事は、2025年7月1日時点の情報を基に作成しています。
 製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、電通総研のWebサイトからお問い合わせください。