旅行会社が、顧客の代わりに航空会社やホテルの予約システムに働きかけるAIエージェントを提供するとします。相手先のシステムが受け取るのは、エージェントからの要求です。「このエージェントは本当に顧客本人の代理なのか」「本人はどこまでの操作に同意したのか」。相手先がこう問い返してきたとき、答えを出せるかどうかが、相手先が取引を受け入れるかの判断材料になります。
社内のAIエージェントであれば、権限は自社で決めて自社で守らせれば足ります。顧客の代理で社外に出るAIエージェントは違います。権限を決めるのは自社でも、それを確かめる主体は相手先に移ります。社内の設定は相手先には見えないので、外に出るAIエージェントには「誰の代理で、どの範囲か」を相手先が検証できる証明書の形で持たせる必要があります。VeCrea(ヴィクレア、電通総研が提供する認可・認証プラットフォーム)は、この証明書をKnow Your Agent(KYA、AIエージェントの正当性を証明する仕組み)とMandate VC(委任内容を検証可能な証明書として表す仕組み)で発行します。
エージェントの代理を検証する仕組みは、すでに公表されています。
2025年10月、Visaは「Trusted Agent Protocol」を発表しました(出典: Visa プレスリリース、2025年10月14日、https://usa.visa.com/about-visa/newsroom/press-releases.releaseId.21716.html )。加盟店に対して、エージェントが「購入の意図を持つ信頼できるエージェントであること(Agent Intent)」「消費者が既存の顧客かどうか(Consumer Recognition)」「決済情報(Payment Information)」の3つを、暗号署名つきで伝える枠組みです。加盟店側は、正規のエージェントと悪意あるボットを見分けられるようになります。
2026年4月、FIDO Allianceはエージェント認証のワーキンググループを新設し、決済のワーキンググループではGoogleのAgent Payments Protocol(AP2)とMastercardのVerifiable Intentを寄贈として受け取りました(出典: FIDO Alliance、2026年4月28日、https://fidoalliance.org/fido-alliance-to-develop-standards-for-trusted-ai-agent-interactions/ )。標準化の狙いは、「誰が、どの条件で、どの上限で行動を許可したか」を検証可能にすることです。
国内でも、認可されたAIエージェントだけが本人の権限に基づいて取引できるようにする、同じ方向の動きが出ています。
海外の2つの動きと国内の動きに共通するのは、受け手側が「誰の代理か」「どこまで許されているか」を確かめる手段を持ち始めたことです。確かめる主体が、提供者の社内から相手先へ移っています。

冒頭の旅行会社の例で、航空会社の予約システムが確かめたいことは3つに整理できます。
| 相手先の問い | 提供者側に必要な証明 |
|---|---|
| このエージェントは正規のものか(なりすましではないか) | エージェント自体の正当性の証明 |
| 誰の代理として動いているか | 委任元(顧客)とエージェントの結びつきの証明 |
| どこまでの操作を許されているか(予約の変更までか、決済までか、金額の上限は) | 委任の範囲と条件の証明 |
設定は自社の中にあり、相手先には見えません。
VeCreaのAI Agent Trustは、この3点を検証できる証明書として発行します
(出典: VeCrea AI Agent Trust 公式ページ、https://itsol.dentsusoken.com/vecrea/module/ai-agent-trust/ )。
エージェントの正当性 — Know Your Agent(KYA)で、AIエージェントの正当性を証明します。
委任元と範囲 — Mandate VCで、権限・資格・属性を安全に管理し、検証できるようにします。誰の代理で、どの操作を、どの条件(金額の上限や期間)で任されたかが、改ざんできない証明書になります。
発行した証明書のもとで実行を認可の範囲に収め、実行の記録を残し、想定外のときは稼働中でも権限を即時に失効・一時停止できる点は、社内向けのAIエージェントと同じです。違いは、権限が社内の設定にとどまらず、相手先が受け取って確かめられる形になることです。
顧客の代理で社外に出るAIエージェントを計画するとき、機能や接続方式と同じ段階で、相手先に何を証明するかを決めておくと、接続交渉の手戻りが減ります。エージェントの正当性、委任元との結びつき、委任の範囲と条件。この3点は、相手先との接続要件です。
VeCreaは、この接続要件に応える証明書を発行する基盤として、社外に出るAIエージェントの信頼を支えます。
執筆者:谷平 昌啓 ※構成・下書きに生成AIを使用し、筆者が内容を確認・加筆のうえ公開しています。
AIエージェントの実行を権限と条件で統制する認可・統制・監査基盤。スコープ・条件・停止・証跡の4要素をまとめて実装できます。
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